子どもの「今」は、あとから取り戻せない
神戸で中学生を長く見ていると、毎年いろいろな子が高校へ進学していきます。
その中で感じるのは、高校に合格することより、その高校に入ってからの3年間の方がずっと長いということです。
中学1年生の1年間。
中学2年生の1年間。
中学3年生の1年間。
大人からすれば「まだ中学生」と思うかもしれません。
でも、この時期に、
分からないことを考える。
嫌なことでも少し頑張る。
できなかったことができるようになる。
努力したら結果が変わる。
そういう経験をすることには、テストの点数以上の意味があると思っています。
高校に入れば、中学までの勉強がリセットされるわけではない
高校受験になると、どうしても、
「どこなら受かるか」
という話が中心になります。
でも、本当に考えてほしいのは、
「その高校に入ってから、授業についていけるか」
です。
高校の数学も英語も、中学校で習ったことの続きです。
中学校の内容が分からないまま高校に入って、突然高校の勉強だけ分かるようになるわけではありません。
神戸市内の高校でも、入試の段階から基礎学力を重視している学校があります。
例えば兵庫県立北神戸総合高校は、入試で確認する力として、はっきりと**「基礎的な学力」**を挙げています。推薦入試でも調査書の教科評定を評価に使っています。
兵庫県教育委員会も、高校選びについて「学びたいことが学べる高校を選ぶ」ことを掲げています。
高校は、ただ「入れてもらう場所」ではありません。
入ってから毎日授業を受け、テストを受け、3年間を過ごす場所です。
授業がほとんど分からない3年間と、
「分かる」「頑張ればできる」と感じながら過ごす3年間。
同じ高校生活でも、大きく違うと思います。
将来、「やりたい」と思ったときのために
私は、勉強ができれば幸せになれるとは思っていません。
偏差値の高い高校や大学へ行けば幸せになる、とも思いません。
でも、
将来、子どもが何かをやりたいと思ったときに、選べる状態にはしておいてあげたい。
高校を選ぶ。
大学や専門学校を選ぶ。
資格を取る。
仕事を選ぶ。
中学生のときに将来の夢が決まっていなくても構いません。
むしろ決まっていないからこそ、今の段階で選択肢を減らす必要はないと思います。
最近の「高校無償化」を見て思うこと
2026年度から高校授業料への支援は大きく拡充されました。所得制限も撤廃され、兵庫県でも私立高校の授業料支援が行われています。
家計の負担が軽くなるのは、とても良いことです。
塾だってお金がかかります。
自分で勉強できる子なら、私は塾に行く必要はないと思っています。
ただ、
「高校には行ける。授業料も支援される。だったら今はそれほど勉強しなくてもいい」
となってしまうのであれば、それは少し違うと思います。
大事なのは、塾に行くかどうかではありません。
子どもの今の時間をどう使うかです。
お金は、あとから取り戻すことができます。
でも、中学1年生の1年間も、中学2年生の1年間も、中学3年生の1年間も、一度しかありません。
授業料への支援が増えても、子どもの「今」の価値まで安くなるわけではありません。
何年か先に子どもが、
「これをやってみたい」
と思ったときに、
「じゃあ、やってみよう」
と言えるだけの選択肢を残しておく。
そのためにも、中学生の今の勉強は大切だと思っています。
何もしないまま過ぎてしまう時間こそ、一番もったいない。
私はそう思います。



